忘れられないお葬儀をご紹介してきていますが、僕にとって忘れられないお葬儀の一つはなんといっても僕の初めての「担当」仕事です。
これも何かのご縁、と言うほかないのですが
(葬儀社は、ご連絡のあったお客様を断ることはできませんから)
僕の記念すべき初「担当」仕事は、そのスジの故人のお葬儀でした。
当時勤務していた葬儀社の社長も、一緒に見積もりに立ち会ってくれた先輩もとても心配してくれ、おかげさまで無事お葬儀当日を迎えることができました。
式場は貸し切り。実は、万一何かあった際に一般の方が巻き込まれないよう、貸し切りが通例となっているんです。
相好のいい人たちの集団が次々と、しかも整然とお焼香する様はまるで軍隊のよう。
とにかく順序というか、秩序があるんですね。
女性の方たちも、日常の感情のもつれあいはどこへやら、まずは姐さん、そしてあれが2号さん?3号さん?・・・と
はためにわかるくらいにスムーズに焼香されていました。
突然、参列の中から「なんじゃこりゃぁ!この花輪の順序は!」の声にドキッ。
でもこれも織り込みずみです。
「はい、これは●●様のご指示でこのようにさせていただきました」
「そうか。」相手の方はあっさりその場を去られました。
子分さんたちはというと、打ち合わせのときに、涙ながらに「親父」の武勇伝を語っていたのに今は涙一つこぼさず静かに定位置に控えています。
葬儀会場は外交の場。上部組織も時には敵方も焼香に訪れますから弱みを見せるわけにはいかないのです。
なんとか無事に過ぎた2日間。
きっちり現金でのお支払いをもって、僕の初「担当」仕事は幕を閉じたのです。
これも因果と言うべきか、普通のお葬儀じゃありませんでした。
今では、こういったことも落ち着いて対応出来なくもありませんが、当時は痩せる思いでしたね・・・
ご笑覧ください。