お葬儀はまさに、良くも悪くもその人の人生の縮図だなぁと
執り行わせていただくたび思います。
時には
葬儀スタッフといういわば他人からみても
故人が亡くなられたという悲しみとは別の次元で
いたたまれないというか
悲しいお葬儀があります。
先日、そのいくつかをお話をさせていただきましたが、
なんといっても僕が忘れられないのはこのお葬儀です。
故人はどんな思いで、あの世からこのようすを見られていたんでしょうね。
周りの方たちに、
自分はこうはならないように、と教えてくれたのかなと思ったりもしました。
先日、こんな冗談?と思ってしまいたくなる、悲しいことがありました。
その方は、「直葬」、いわゆる
お通夜・告別式の会場を設けずに、火葬場で葬儀を執り行う、最もコンパクトな形でのご葬儀で、
息子さん二人が見送られるお式だったのですが、
会場で支度を整え、お待ちしていても
・・・・誰も来ないんです・・・
担当したのは後藤君。
まさかまさか、自分が間違えたのか・・とチェックしてみてもやはりこの斎場でこの時刻です。
出棺の時間をとうに過ぎても
参列のお二人は連絡さえ取れません。
そしてとんでもない情報が入ってきました。
後藤君が到着する少し前にここで殴り合いのケンカがあったそうです。
あまりの激しさに一人は救急車で入院し、
もう一人は軽傷なものの、その場を立ち去ったとか・・・。
結局、その日の夕方、
満身創痍のご長男さんだけが斎場にあらわれました。
もう、日をあらためるわけにもいきませんから、
斎場の方にお願いして、葬儀をおこないました。
後日分かったことですが、
二人は遺産を巡って
ケンカになったのだそうです。
人生の最後がこんな形とは・・・見送られる故人様はどんなお気持ちだったかと
切なくなりました。
「直葬」はお葬儀に費用や時間をかけられない方が選択されるケースが増えています。
ただ、お別れの時間も短く、シンプルなだけに、
こちらとしては故人様に失礼のないよう、できるかぎり丁寧に執り行わせていただいています。