毎日のお勤めなどに使う勤行集。
多くの宗派に共通して載っているのが
「懺悔文(偈)」です。
天台宗・真言宗・浄土宗・臨済宗・曹洞宗などの勤行集に登場します。
わざわざ懺悔するようなことはないんだけど・・と思われるかもしれませんが
まずは原文と訳をご紹介しますね。
《原文》
我昔所造諸悪業(がしゃくしょぞうしょあくごう)
皆由無始貪瞋癡(かいゆうむしとんじんち)
従身語意之所生(じゅうしんごいそしょしょう)
一切我今皆懺悔(いっさいがこんかいさんげ)
《訳》
私が昔から作ってきた色々な悪い行い(業)は、
みなはるか昔からの、むさぼり(貪)怒り(瞋)愚痴(癡)の三つの煩悩(三毒)によって、
この身とこの口とこの心で作ってきたものです。
私は今、それら全てをみ仏の前で懺悔します。
実は、仏教でいう悪い行いは厳密で、
相手を怒り(瞋)にまかせて殴ってしまう(身で行う)のはもちろんのこと、
悪口を言ったり(口で行う)、
憎たらしいと思ってしまう(心で行う)のも
悪行なんです!
また、そもそも、人間は食べないと生きていけないわけですが
食べるということは他の動植物の命を奪って、その身を頂くこと。
これも悪行の一つに数えられてしまいます。
だから
日々、生きるうえで、感謝や反省がないと、
「生かされている」意識がないといけない、
そんなことをこの短い偈(げ、経文の短い詩句のこと)は
思い起こさせてくれます。