仏壇の種類②唐木仏壇とは
金襴豪華な金仏壇と並んで、上げられる伝統的な仏壇が
「唐木仏壇」です。
木目の美しさを活かし、金仏壇よりもシンプルな趣ですね。
唐木(からき)の「唐」は昔の中国王朝の「唐」です。
元々は、日本では産出されない東南アジア産の銘木「黒檀」「紫檀」を唐から輸入して
作っていたことから、唐木仏壇と名づけられたようです。
よく作られるようになったのは明治時代からですが、
江戸時代に培われた工芸技術が生かされています。
ここまで読んでお察しがつかれているかと思いますが、
唐木仏壇のランクはずばり、素材、つまり「木の種類」によるところが大きいです!
ざっとその種類をあげてみます。
●黒檀
インドネシアが主な原産地。材質は堅く、水に沈むほど緻密で、耐久性に優れ、虫や菌に侵されにくいうえ、乾燥性がよい。黒地に美しい木目が浮き出ており、「木のダイヤモンド」といわれるほど高価。
●紫檀
ラオス、タイ、ベトナムなどが主な原産地。周辺部分は白色だが、心材は暗紫紅色で、材質は堅くて緻密なところは黒檀と同様。正倉院御物の唐木細工のなかではもっとも多く見られ、古くから珍重された木材。
●桑
全国各地で産出される木材だが、使えるのは、伊豆諸島産の「島桑」のみ。年輪が緻密で、美しい木目と粘りのある木材として知られている。国内の銘木のなかでは、最高級の木材。
●欅(けやき)
北海道を除く全国が産地。古くから神社や寺院建築に使われ、木目が美しい。材質も堅く、仏壇向き。
長く使い、代々引き継いでいくものだから、耐久性の高い銘木となってしまうわけですが、
実のところ、最近では、こういった銘木の入手が困難になっています。
すべて無垢材を使った総無垢の仏壇はわずかしかありませんし、かなりの高額です。
現在、多くの唐木仏壇は芯に別の木材を使い、銘木を張って作られています。
芯材には朴の木、セピター(東南アジア産)、ジョンコン(インドネシア産)、
合板、MDFボード(合成木材)などが使われています。
当然、張ってある銘木の使用量で価格が決まってきますし、名称も違います。
「無垢厚板張り」は芯材の上に厚さ6ミリくらいの銘木の無垢材を張り合わせたもので練り工法ともいいます。
0.2ミリくらいにスライスした銘木の突板を張り合わせる「突板張り」は、価格もリーズナブルになります。
そして最近の廉価品の中には、芯材に銘木の木目を直接印刷した転写もの、
あるいは芯材に木目を印刷したフィルムや塩ビシートを張り合わせたプリントのものもあります。
印刷技術が向上しているため、一見しても見分けがつかないほどよくできていますが・・・。
いずれは色あせてくるものと考えてもらったほうがいいですね。
高級品は美しい状態を長い年月保ちます。
材質の違いは年月を経るごとにはっきりと現れてきます。