今回は、
宮城県のお葬式についてです。
あの震災からもうすぐ1年。
少しずつではありますが、お葬儀でもかつての姿を取り戻そうと
地元の皆さんも頑張っているようです。
あくまで僕が見聞きした範囲ですが今回も、「如是我聞」ということでお伝えします。
●回る!?お葬儀
宮城県のお葬儀で特徴的なのは、回る行為がいろいろあることだそうです。
1つには、葬儀の際に集まった人たちで大きな数珠を持ち、
そのままグルグルと何十回も回転するという儀式。
回りながらすることは地域によって少しづつ内容は違うのですが、
亡くなった人のために歌を歌ったり、泣きの演出をする人がいたりするなど、
他の地方から来た人はびっくりすることも多いとか。
目が回ってしまわないように、逆回転をしてさらにまた何十回か回る
ということも行われているようです。
また、一部の地域では、埋葬の時、
葬列はそのまままっすぐ埋葬場所まで行きません。
なんと埋葬するお墓が建てられている山の周囲を3周半ほど回るとか。
宮城にお葬儀で行くことがあったら、
とにかく足をよく使うお葬儀がありそう、と覚悟しておいた方がいいかもしれませんね。
●お通夜には「白ぶかし」
お通夜の際に、おこわを食べる慣習は全国各地で行われていますね。
一説によると、土葬だった時の名残で、
翌日の埋葬のために、皆で力をつける意味があるといわれています。
故人が大往生だった時に「赤飯」を出すところは各地にありますし、
北海道では黒豆を混ぜた「黒飯」を出します。
宮城県ではというと、小豆の一種の「白ササゲ豆」を混ぜたもち米をふかした
「白ぶかし」がお通夜の夜にふるまわれています。
また、葬儀の前後には、動物性の食べ物を口にしないという風習が残っている地域があり、
その間は野菜の献立が中心の精進料理がメインとなる食事となっているそうです。
●近隣組織「契約講」が活躍
10件程度の家が一単位となって、通夜・葬儀の際に喪家を手伝う近隣組織、
宮城県では「契約講」や「講中」とも呼ばれています。
「契約講」は、地域の重要な仕事と捉えられていて、
会社の仕事よりも葬儀を優先するのが当然と考えられている地域もあります。
講長と呼ばれる代表者が葬儀だけではなく、埋葬までの役割分担を取り仕切っていきます。
そのため、打ち合わせに欠かせないどころか、
葬儀一式を取り仕切るための葬儀屋が必要ではない地域もあるほどだとか!(大変!)
今までお送りしてきた
「如是我聞 地方のお葬式」。
宮城県で最後になりました!
ところ変われば・・・ではないですが、
東京・三鷹のお葬儀をずっとやってきた僕にとっては
なかなか新鮮で、勉強になりました。
お葬儀の風習も年を経るごとに変わっていくものかもしれませんが
昔ながらのお葬儀の風習は、
昔の人々の知恵や思いがそれぞれこめられているように感じました。
それぞれの地域で大事に受け継がれていってほしいなぁと思います。