如是我聞:福島県のお葬式

今回は、
福島県のお葬式についてです。

あくまで僕が見聞きした範囲ですが今回も、「如是我聞」ということでお伝えします。

●いわき(浜通り)、福島(中通り)、会津の地域ごとに違う風習

現在の福島県は、広さもさることながら、昔10以上の藩にわかれていたこともあって、風習も様々です。
お葬儀もしかりで、大きくわけて太平洋側の浜通り地方、新幹線の通る内陸の中通り地方、そしてさらに内陸の会津地方で少しずつ異なっています。

ちなみに火葬の順番は、いわき市などは葬儀の後火葬を行なう「後火葬」
江戸時代、幕府直轄となった地域も含まれていますので、その影響ともいわれています。
福島市は通夜の翌朝に火葬をして、その後葬儀を行う「前火葬」が一般的です。
会津若松地方でも葬儀の後火葬を行なう「後火葬」です。

また、福島県内では、不幸の報せは、2人が1組となって伝えられるしきたりが残されていますが、地域によって「告人」(つげと)、「角折」(かくせつ)、「わざふ」と違った名で呼ばれています。

●納骨は隣組も参加(いわき)

近隣組織である「隣組」や「念仏講」とも呼ばれる、10件程度の家が一単位となっている組が、通夜・葬儀の際に喪家を手伝うところが多い福島県。お葬儀の打ち合わせにも参加するなど、重要な役を担います。

納骨についても、親族だけでなく、ご近所等、組内の方々も参加する事が多いそうです。

いわき地方では、入棺・納棺の時は、魔よけの縄を使うのだそうです。
耳や腰など身につけて入棺を行います。
また、出棺の前に、「白いもの=お清め」ということなのでしょうか、豆腐を食べる所もあるそうです。

●出棺は仮門から。合理的なお葬儀?(会津地方)

会津地方では、出棺の際に玄関の脇に「仮門」を作って、そこをくぐって出棺するという風習があります。
竹などの素材をアーチのように曲げたもので、冥土の入口という意味があり、出棺の後はすぐに壊したり、農村部などでは燃やしてしまいます。
この仮門を燃やす(「門火(かどび)」を焚く)ことで、お盆の送り火と同じように、霊が迷わずあの世へいけるようにとの意味があると考えられているのです。

また、会津地方では、通夜は身内のかたと親しい人のみで行うというのが一般的です。
葬儀に参列できないので通夜に参列する人が来てもかまわないのですが、あくまで一般の方は葬儀当日がメイン、ということになっているようです。
なので、通夜には受付が無く、参列者も少なく、他の地域から来た人はびっくりするそうです。

葬儀当日も、受付に記帳所はありません。香典を渡すと返礼品を渡されます。

精進落としは、(お斎、3日7日、夕食使いなどと言います)
事前にお使い状を渡されたかたのみの出席
で、
出席するかたは、あらかじめ飲食代を含む金額を香典にお包みすることが通例なんだそうです。。
精進落としの会場でも受付等はありません。

ちょっと戸惑うことも多そうですが、考えようによってはシンプルですね。

●親族はかみしも姿(福島市、他)

福島市では、葬儀のとき、親族の男性は麻のかみしも姿になります。

柩の中に、魔除けとして守り刀を入れるところが多いですが、福島では「箒」を乗せる所もあり、同じ意味なのだそうです。

また、香典返しは告別式後に行なわれるそうです。

震災からもうすぐ10ヶ月がたとうとしています。

お葬儀の方も豊かな昔ながらのしきたりでそれぞれに執り行われるようになっていることを祈ってやみません。

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