久々の世界のお葬式事情「如是我聞」、今回は韓国です。
お隣で、すっかり身近になった韓国ですが、お葬儀となると、やはり仏教国の日本とは違うしきたりがお葬儀の始まりからあるようです。
調べていくと、日本との文化の違いを実感することばかり。でもその根底に親と先祖を大切にする韓国の人々の心も感じます。
Table of Contents
日本は仏式、韓国は儒教式がベース
韓国も日本と同じように個人の宗教の自由が保証されていますが、いざ、親族がなくなると、ほとんどの方が儒教式のお葬式を希望されるそうです。
日本でお葬式というと殆ど仏教なのとなんとなく状況が似ているなぁと思いました。
日本が2日間、現在のような正味半日×2なのに対して、儒教式は3日間に及ぶことから「3日葬(サミルチャン)」と呼ばれます。
3日3晩、喪主や故人の家族は葬儀場で弔問客を迎え、食事をふるまうのです。
迎えの使者を招く儀式
伝統的な儒教式のお葬式では、まず臨終が確認されると、遺族たちは大声で泣き、人々に葬儀の始まりを告げるのだそうです。
しめやかに・・、泣くことも控えめな日本とは対照的な始まりですね。
そして故人の上衣を持った人が屋根に登って、北側に向かってそれを振り、あの世からの迎えの使者を招きます。
家の庭には、「使者床」と呼ばれる使者のための食事や草履も用意するのだそうです。
最後の衣装「寿衣」
お体をきれいに洗ったあと、故人には寿衣(スイ)と呼ばれるいわゆる死装束を着せます。
韓国では、60歳を過ぎたらこの寿衣を用意する習慣があります。
「寿衣」をあらかじめ準備しておくのは、死を「生の終わり」ではなく、「新しい生の始まり」ととらえる韓国人の来世観からきているのだそうです。
寿衣を用意しておいたら無病長寿したという話もあり、子どもが親に寿衣を用意してあげるのが孝行の一つともされているのです。
そして、あの世へ行く道のりの食料として、水に浸したお米を遺体の口に入れます。
親族の喪服は生成り色、のわけ
そして遺族は喪服を着用し、弔問客を迎えます。
喪主は、今は黒のスーツに喪章を腕に巻くのが一般的ですが、昔は麻布の喪服(韓国服)にずきんをかぶり胸や頭に麻布で作ったリボンをつけていました。
儒教では、親の死は世話や誠意が及ばなかった子の罪であると考えるため、遺族は何の色にも染められていない粗末な服を着ることで、罪深さを示すのだそうです。
家族の結びつきが強い韓国では、故人の配偶者・直系子女・8親等以内の親族まで正装するのが正式なんだとか。
盛大なお通夜?
3日めの告別式を迎えるまで、日本と比べると盛大なお別れの宴が続きます。
料理を食しながら故人の思い出話に花を咲かせるのはもちろん、時には遺族を慰める為の歌が披露されたりすることも。
びっくりしますが花札をするのも一般的なんだとか!
ちょっとびっくりしますが、実は親に孝行したい、祖先を手厚く祀りたい・・そのような思いの現れなんですね。
花に彩られて、風水で決められた墓地へ
3日目を迎えると、簡単な祭祀(チェサ)と告別式をし、棺を家から運び出し墓地へ向かいます。
ちなみに棺を運ぶ時は頭から出なければなりません。
棺は花で美しく飾られた輿に乗せられます。
そして、故人の名前や出身を記した旗、いわばあの世で使う戸籍謄本と共に、土中に埋葬されます。
お墓はいわゆるまんじゅう型。
喪主は棺の上に土を3回ふりかけた後、平たく土をならし、土を盛り上げてお墓を作ります。
この場所も、風水で決めた場所にするのが伝統の形だそうです。
うまくいかないことが続くと「お墓の位置が悪いのでは?」という話も出るほど重要なことなんだそうです。
お墓の前に霊座を設け簡素なお供えをし祭祀をした後、家に帰り、魂を家に迎える祭祀を行なうのです。
この記事を書いた人
株式会社AZUMA代表取締役
ご葬儀は、故人から遺された方たちへの最後のあいさつの場であり、そして贈り物です。そこに集う人々がこころゆくまでお別れができる葬儀を常に探究。コラムやYouTubeなどでも葬儀に関する解説などを積極的に配信しています。